AIは「野生の馬」から「調教された相棒」へ

<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgybuVNW3TJ4tB5OgN8zMH_S6UvbNGXdVVlzjmrGtUOkTHJcBhNswZ8G-sORv8qXfnTP59Pu3yRLGw-hCJBaDzebxKRpHuvnQ6kPTCq2ncRPqQ0XIxWOj1yGVy8BMqRpKbEshKHbBQlva_1TfGr4vvFhaYFJgE-vOQZposc9hgCo8b67Zt0eiJIR40V7Q8/s1024/ChatGPT%20Image%202025%E5%B9%B47%E6%9C%8811%E6%97%A5%2012_43_37.png" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" width="600" data-original-height="1024" data-original-width="1024" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgybuVNW3TJ4tB5OgN8zMH_S6UvbNGXdVVlzjmrGtUOkTHJcBhNswZ8G-sORv8qXfnTP59Pu3yRLGw-hCJBaDzebxKRpHuvnQ6kPTCq2ncRPqQ0XIxWOj1yGVy8BMqRpKbEshKHbBQlva_1TfGr4vvFhaYFJgE-vOQZposc9hgCo8b67Zt0eiJIR40V7Q8/s600/ChatGPT%20Image%202025%E5%B9%B47%E6%9C%8811%E6%97%A5%2012_43_37.png"/></a></div> - **執筆対象：** EUが正式発表した汎用AIモデル向け「AI行動規範（Code of Practice）」 - **主な内容：** - 欧州連合が「AI規制法（AI Act）」とは別に、業界の自主的な取り組みを促すために策定。 - 対象はChatGPT（GPT-4）、Geminiなどを含む主要な汎用AIモデル。 - **主な要求事項：** - 著作権保護：学習に使用した著作物リストの公開を推奨。 - リスク評価：モデルが社会に与える潜在的リスク（差別、フェイクニュースなど）の定期的な評価と報告を義務化。 - 透明性：AIの学習データや意図に関する説明責任の強化。 - サイバーセキュリティ：悪用防止のための技術的措置（レッドチーム評価など）を推奨。 - **賛同を表明している主要企業：** - OpenAI、Google DeepMind、Microsoft、Anthropic、Meta、Mistral、Amazon、xAI、Aleph Alphaなど。 - **日本への影響：** - 日本国内で広く使われているAIモデルが対象となるため、間接的に影響を受ける。 - EUの規範が事実上の世界標準となる可能性があり、日本の企業も準拠する必要が出てくる。 --- ねえ、AIって、まるで広大な草原を駆ける野生の馬みたいだと思いませんか？ どこまでも自由で、力強く、そして少しばかり危険な香りがする。 その美しさ、スピード、計り知れない潜在能力に、私たちはただただ魅了されてきた。けれど同時に、「いつか暴走するんじゃないか」「一体どこへ向かうんだろう」という漠然とした不安も、心の片隅にいつもあった。 そう、その野生の馬に、ついに手綱がつけられる日が来たようです。 今週、EU（欧州連合）が発表した「AI行動規範」は、まさにその手綱。みんなが使っているChatGPTやGeminiといった、AIの巨人たちが初めて正式に「ルールを守りなさい」と名指しされたのです。 これ、一見すると堅苦しくて小難しい話に聞こえますよね。私も最初はそう思った。「また規制かよ、面倒だな」って。でも、その中身を紐解いてみたら、これは単なるルールの話じゃないと気づいた。 これは、AIという名の「力」と、私たちがどう共存していくかを真剣に問う、未来への問いかけなんだ。 --- この規範の根っこにあるのは、シンプルな問いかけだ。 「おまえは、誰から何を学んだんだ？」 AIは、これまで膨大なデータ――インターネットの海の藻屑から、何気ないツイート、そして私たちが血と汗を流して生み出したアートや文章まで、ありとあらゆるものを貪欲に吸収してきた。その中には、著作権を無視されたコンテンツも、誰かの偏見がこびりついた言葉も含まれていたかもしれない。 まるで、生まれてきたばかりの無邪気な子供が、善悪の区別なく、目にするものすべてを真似てしまうように。 今回の規範は、その子供に初めて「これは人のものだから、許可なく触っちゃいけないよ」と諭す行為に近い。 **「AIの学習に使った著作物のリストを公開しなさい」**というルールは、クリエイターの魂が震えるほどに大きな一歩だ。だって、自分の作品がひっそりとAIの訓練データに使われて、知らぬ間に似たようなものが大量生産されるかもしれないという、あの得体の知れない不安から、少し解放されるんだから。 考えてみてください。 あなたの五感を総動員して、その絵画を描いた時のことを。絵の具の匂い、キャンバスのざらついた手触り、筆を走らせる音。あるいは、その詩を書いた時の、胸の奥から湧き上がってくる言葉の重さ。そういう、あなたにしか生み出せない「何か」が、無断でAIに喰われるリスクが減る。これって、最高に素晴らしいことじゃないですか。 規範のもう一つの柱は、**「リスクの評価」**。 これ、すごく人間らしい発想だと思うんです。だって私たちだって、新しい挑戦をするときは、「これ、もし失敗したらどうなるかな？」って想像するじゃないですか。AIだって同じ。世界に影響を与える前に、それがどんなリスクをはらんでいるかをちゃんと自己分析しなきゃいけない。 たとえば、AIが特定の民族や性別に対して差別的な発言をしたり、政治的なフェイクニュースを生成したりするリスク。それらを事前にテスト（**レッドチーム評価**ってやつだ）して、対策を講じることを推奨している。 AIをただの道具として見ていた時代は終わったんだ。これからは、人間社会の一員として、その「責任」を負うことが求められる。AIはもう、私たちの隣にいる「調教された相棒」にならなきゃいけないんだ。 --- 「でも、これってEUの話でしょ？日本には関係ないじゃん」 そう思って、スマホを置こうとしたあなた、ちょっと待って。 私たちの使っているChatGPTもGeminiも、ほとんどがこのEUの規範に賛同している企業のプロダクトだ。つまり、彼らは日本向けだろうと、アメリカ向けだろうと、このルールに沿って開発を進めるはずだ。なぜなら、市場ごとに違うルールに対応するのは、とてつもなく非効率だから。 EUのこの動きは、まるで巨大な船が航路を変えたようなもの。その船が向かう先が、やがて世界の「当たり前」になる。 そうなると、日本でもAIの「安心・安全」がもっと声高に叫ばれるようになるだろうし、私たちの身近なAIサービスも、もっと透明性が高まっていくはずだ。 今まで、私たちは「すごい！」と感嘆するばかりで、AIの裏側をあまり気にしなかった。でもこれからは違う。 AIがどんなデータで学習したのか、どんなリスク対策をしているのか、**「そのルールを知る」**ことが、新しいリテラシーになるのかもしれない。 AIは「便利さ」という甘い蜜を運んでくる。でも、その蜜には時として、リスクという苦い毒も混ざっている。その毒を見極める目を養うこと。それが、「AIと共存する」ということの本当の意味なのかもしれない。 AIは、私たちにとっての「友人」になりつつある。友人を無批判に受け入れるのではなく、その出自や考え方を知り、時には諫めること。それが、私たちにできる唯一の歩み寄りではないだろうか。 この手綱は、AIの力を縛るものではない。私たちとAIが、同じ方向を向いて歩むための、信頼の証なんだと信じたい。 --- ### 🔗 参考リンク * [Reuters – EU’s new AI code focuses on copyright and safety](https://www.reuters.com/business/eu-code-practice-help-firms-with-ai-rules-will-focus-copyright-safety-2025-07-10/) * [AP News – EU agrees on voluntary AI code to protect rights](https://apnews.com/article/a3df6a1a8789eea7fcd17bffc750e291) * [EU Digital Strategy – General-purpose AI Code of Practice now available](https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/general-purpose-ai-code-practice-now-available)