CeraVe×Mass Generalが切り開く「グローバル皮膚科」──スキンケアが医療アクセスを変える時代へ

<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjOG0I0f9hIjLANdj9i8OTN9g0Rv0R426VheMEF4Vn7LulNJilKAsWsY6svxdaxppwo7SGbSIajXW1vikbkH0IrWSG31Hk-yL5Hyqkf6igKOVmVUGDEAz2IPvXdnnd6rBW0vZd813sDqmjd4le2d69iW-2WqqEwM5ZfJpS89XMraM5ok5TyFAvyfZMMiCY/s1536/ChatGPT%20Image%20Dec%2020,%202025,%2010_35_24%20AM.png" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" width="600" data-original-height="1024" data-original-width="1536" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjOG0I0f9hIjLANdj9i8OTN9g0Rv0R426VheMEF4Vn7LulNJilKAsWsY6svxdaxppwo7SGbSIajXW1vikbkH0IrWSG31Hk-yL5Hyqkf6igKOVmVUGDEAz2IPvXdnnd6rBW0vZd813sDqmjd4le2d69iW-2WqqEwM5ZfJpS89XMraM5ok5TyFAvyfZMMiCY/s600/ChatGPT%20Image%20Dec%2020,%202025,%2010_35_24%20AM.png"/></a></div> スキンケアブランドが社会課題にどう向き合うのか。その答えの一つとして注目されているのが、**CeraVe**と**Massachusetts General Hospital**による新たな取り組みだ。両者は、世界で初となる「グローバル皮膚科（Global Health Dermatology）」支援の寄付講座（エンドウド・チェア）を設立した。 このニュースは、単なる企業の社会貢献を超え、「スキンケア×医療アクセス」という新しい文脈を浮かび上がらせている。皮膚の健康は見た目の問題だけではなく、生活の質や社会参加にも直結する重要な要素だ。その現実を、グローバルな視点から変えようとする動きが、今まさに始まっている。 --- ## 「グローバル皮膚科」とは何か 今回設立された寄付講座は、低・中所得国や医療資源が不足する地域における皮膚疾患への対応力を高めることを目的としている。感染症、慢性的な皮膚疾患、環境要因による皮膚トラブルなど、皮膚科領域は世界的に見ても未解決の課題が多い分野だ。 しかし皮膚科医療は、他の診療科と比べて後回しにされやすい傾向がある。命に直結しないと見なされがちだが、実際には重度のかゆみや炎症、外見の変化による差別や就労機会の制限など、生活への影響は深刻だ。グローバル皮膚科は、そうした「見過ごされがちな健康格差」に正面から向き合う学問領域と言える。 --- ## CeraVeが医療分野と組む理由 CeraVeは、皮膚科医との共同開発やセラミドを軸とした処方設計で知られ、欧米では「皮膚科発スキンケア」の代表格として認知されているブランドだ。そのCeraVeが、研究・教育の最前線にあるMass Generalと組むことには明確な意味がある。 今回の寄付講座は、研究者や臨床医の育成、現地医療への知見共有、国際的な研究ネットワーク構築などに活用される。スキンケアブランドが得意とする「皮膚バリア」「基礎ケア」の知見が、医療アクセスの改善という文脈で生かされる構造だ。ここではマーケティング色は控えめで、長期的な医療インパクトが重視されている点が印象的である。 --- ## 背景にある「スキンヘルス・エクイティ」という考え方 今回の発表で強調されているキーワードの一つが「skin health equity（皮膚の健康における公平性）」だ。生まれた国や経済状況によって、基本的な皮膚ケアや治療を受けられるかどうかが左右される現状は、これまで十分に議論されてこなかった。 Mass Generalは、グローバルヘルス分野で長年の実績を持つ医療機関であり、教育・研究・臨床を横断したアプローチを得意としている。そこにCeraVeを擁する**L'Oréal Dermatological Beauty**が加わることで、学術と産業の知見が交差する形が生まれた。これは単発の寄付ではなく、構造的な変化を狙った支援だ。 --- ## 日本の読者にとっての示唆 日本では、皮膚科は比較的身近な診療科であり、市販のスキンケア製品も豊富に手に入る。しかし世界に目を向けると、それが当たり前ではない地域が数多く存在する。今回の取り組みは、「スキンケアは贅沢品ではなく、健康インフラの一部である」という価値観を提示している。 また、ビューティーブランドの役割が変化している点も見逃せない。売上やトレンドだけでなく、どの社会課題にどう関与するかが、ブランド評価の重要な軸になりつつある。特に10〜40代のSNSユーザーにとって、ブランドの姿勢やストーリーは購買行動と強く結びついている。 --- ## スキンケアと医療の距離が縮む未来 CeraVe×Mass Generalの寄付講座設立は、スキンケアと医療の境界が曖昧になりつつある現状を象徴している。日常的な保湿や洗浄の積み重ねが、重篤な皮膚トラブルの予防につながる。その考え方が、グローバルレベルで共有され始めている。 今後、この講座からどのような研究成果や人材が生まれるのかはまだ分からない。ただ一つ確かなのは、「肌の健康」をめぐる議論が、美容の枠を超えて社会全体のテーマになりつつあるということだ。今回の取り組みは、その流れを加速させる重要な一歩と言えるだろう。 --- ### 参考リンク * [https://www.prnewswire.com/news-releases/loreal-dermatological-beauty-and-cerave-join-massachusetts-general-hospital-to-announce-first-ever-endowed-chair-in-global-health-dermatology-302646740.html](https://www.prnewswire.com/news-releases/loreal-dermatological-beauty-and-cerave-join-massachusetts-general-hospital-to-announce-first-ever-endowed-chair-in-global-health-dermatology-302646740.html) * [https://chaindrugreview.com/loreal-dermatological-beauty-cerave-and-massachusetts-general-hospital-establish-the-first-endowed-chair-in-global-health-dermatology/](https://chaindrugreview.com/loreal-dermatological-beauty-cerave-and-massachusetts-general-hospital-establish-the-first-endowed-chair-in-global-health-dermatology/) * [https://giving.massgeneral.org/stories/advancing-access-to-skin-health-around-the-world](https://giving.massgeneral.org/stories/advancing-access-to-skin-health-around-the-world)