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米国で急拡大する「節税ETF」に当局の目——キャピタルゲイン課税を抑える新型ファンドへのマネー流入
米国で急拡大する「節税ETF」に当局の目——キャピタルゲイン課税を抑える新型ファンドへのマネー流入
12月 02, 2025
--- ## “節税ETF”って何? —— 税金を先送りする新しい金融商品 最近、アメリカで「税金を抑えたい!」という人たちのあいだで注目されているのが、いわゆる “節税ETF(tax-minimising ETFs)”。これらは普通の株式や債券のETFとは少し違って、「キャピタルゲイン税や配当所得税をできるだけ減らす」ことを狙った設計がなされているファンドだ。([ft.com][1]) 通常、株式や債券を売って利益が出たときには「キャピタルゲイン税」、配当や利子を受け取るときには「所得税」がかかる。でもETFは、伝統的なミューチュアルファンドと異なり、「in-kind redemption(現金ではなく“証券そのもの”をやりとり)」というしくみによって、売却益を投資家に分配せず、税を先送りできる。([OUP Academic][2]) こうしたしくみに加えて、最近出てきた「節税ETF」は、さらに一歩踏み込んだ“税回避設計”で、たとえば「株を売らずにポートフォリオを入れ替える」「配当直前で株を入れ替えて配当を避ける」などの戦略を使う。これにより、高額な投資をしている人や富裕層だけでなく、「ミドル〜アッパー層の資産形成層」にも刺さる、新しいタイプの金融商品として注目されている。([ft.com][1]) ただし、この流れにはアメリカの政治家や当局も警戒を強めていて、「税の抜け穴では?」という声があがっている。特に、値上がりした株を売らずにETFに移す “section 351 スワップ型ETF” には制度見直しの可能性が浮上している。([ft.com][1]) --- ## 2025年11月現在、“節税ETF”が急成長 — 実際どれくらい? 2025年11月の報道によると、今年だけで少なくとも 7 本のこうした “節税・スワップ型ETF” がローンチされ、運用資産総額(AUM)は約 **22億ドル** に到達している。さらに、追加で 4 本が「組成途中(シーディング中)」とも伝えられている。([ft.com][1]) また、債券や株式の通常の利子・配当を避ける仕組みを持つETF(配当スキップ型など)も登場しており、たとえばあるファンドは “毎月の利子収入を未実現のキャピタルゲインに変えることで”、長期保有者にとって有利な税扱いを狙っている、という報告もある。([ft.com][1]) ザックリ言えば――「従来の ETF より、さらに税金を先送り or 軽減できるように設計されたETF群」が、一部の富裕層だけでなく中〜高所得層を中心に人気急上昇中、という状況だ。 --- ## なぜ“節税ETF”が広がっているのか?——税制度+投資ブームの“いいとこ取り” ### ✅ ETF の構造そのものが税効率的 ETFはミューチュアルファンドと違って、組成/償還のときに「in-kind redemption(証券そのもののやりとり)」を使える。これにより、値上がりした株を売って現金化し、利益を分配する必要がなく、税発生のトリガーを回避できる。([OUP Academic][2]) この構造によって、過去にも「普通のETFはミューチュアルファンドに比べて、税後リターンで年間平均約1.05%ポイント上回る」という研究結果もある。([OUP Academic][2]) ### ✅ 富裕層だけじゃない、“中間層+投資ブーム” 近年は “自分でお金を育てる” 投資ブーム。特に若い世代〜ミドル世代では、将来の年金や節税、資産形成に関心が高まってきている。そこで、「税金を抑えながら投資できる」節税ETFが、「節税 × 資産運用」のいいとこどりとして刺さる。 ### ✅ 年末に向けた節税・税最適化の動き アメリカでは年末に向けて税務対策を意識する投資家が多く、キャピタルゲインや配当をどう扱うかが毎年の関心。節税ETFは、こうしたタイミングで「税金をコントロールしつつ資産を運用する」手段として機能する。実際に、最近ローンチされた節税型ETFは、年末対策需要を狙った設計も多い。([ft.com][1]) --- ## ただし、HOOKされすぎ注意?! 当局&批判の声も とはいえ、この潮流には強い懸念の声もある。特に注目なのが、米国議会(上院財務委員会)が提案している法案。これは、スワップ型ETFなど “値上がりした証券を支給で移すことで税を回避する手法” を制限しようというものだ。もし成立すれば、節税ETFの最も人気のある手法のいくつかが使えなくなる可能性がある。([ft.com][1]) さらに、専門家からは「制度の抜け穴をつく設計は“グレーゾーン”だ」という指摘もある。たとえば、ETFによる in-kind redemption や “heartbeat trade”(流動性確保と称した再構成取引)を使った課税回避は、税の公平性や基金の透明性という観点から批判されてきた。([businesslawreview.uchicago.edu][3]) つまり、「税を抑えたい」という投資家の思惑と、「税収や公平性を守りたい」という制度設計とのあいだで、今まさに綱引きが起きている。 --- ## 日本の私たちにとっても他人事じゃない——“節税 × 投資”の波はグローバル アメリカ発のこの“節税ETF”の流れは、日本を含むほかの国にも波及する可能性がゼロじゃない。例えば、日本でも将来的に税制やファンド設計の見直しがされれば、似たような商品が登場しうる。 また、日本国内で資産運用を考えている人にとっても、「ETF」という選択肢が改めて注目される流れかもしれない。“税金を抑えつつ、投資でお金を育てる”という考え方が、今後日本でも広がる余地は十分ある。 ただし、海外の制度がそのまま日本に当てはまるわけじゃない。税制、法制度、投資文化、所得層の構造などが違うから、“節税ETF = 万能” とは言えない。そこは冷静に見極める必要がある。 --- ## “節税ETF”を検討するなら、押さえておきたいこと もしあなたが「この節税ETF、ちょっとアリかも…」と感じたら、以下を押さえておくといい: * 税法改正や規制によって、将来 “税優遇がなくなる可能性” がある * ETFそのものの設計や運用コスト、流動性をしっかり確認すること * 配当や利子ではなくキャピタルゲイン重視の資産設計・売却タイミングを自分で考えること * 海外ETFを買う場合は為替や税の扱い(日本国内での申告など)を理解すること 特に若い世代・将来の資産形成を考えている人は、「安易な節税」ではなく「長期的な資産の育て方」として、この手段を検討するのがいいと思う。 --- ## まとめ — “税金ゼロ”に踊らされるな、でも“税を味方にする”価値はある “節税ETF” は、たしかに「税金を抑えながら投資する」という魅力的な切り口。 でもそれは「制度のギリギリ」を狙う手法であって、ずっと安全で優遇されるとは限らない。将来的な法改正や規制強化の可能性も、ゼロではない。 それでも、ETFという金融商品の構造と、今の投資ブーム・資産形成の流れを考えると、こうした節税志向のETFは、一つの現実的な選択肢として存在感を増しそう。大事なのは、“税を怖がる”んじゃなくて、“税を賢く使う”意識。 投資するなら、得するかどうかだけじゃなくて、リスクも含めた“長い目”で考えて。 --- ### 参考リンク * Rapid growth of US tax-minimising ETFs draws scrutiny — Financial Times [https://www.ft.com/content/eb9922eb-9e9e-4438-b2b9-424d6182ada4](https://www.ft.com/content/eb9922eb-9e9e-4438-b2b9-424d6182ada4) * Understanding the tax efficiency benefits of exchange-traded funds (ETFs) — T. Rowe Price [https://www.troweprice.com/en/us/insights/understanding-the-tax-efficiency-benefits-of-exchange-traded-funds-etfs](https://www.troweprice.com/en/us/insights/understanding-the-tax-efficiency-benefits-of-exchange-traded-funds-etfs) * The Role of Taxes in the Rise of ETFs — Academic research paper [https://papers.ssrn.com/sol3/Delivery.cfm/3744519.pdf](https://papers.ssrn.com/sol3/Delivery.cfm/3744519.pdf) [1]: https://www.ft.com/content/eb9922eb-9e9e-4438-b2b9-424d6182ada4 "Rapid growth of US tax-minimising ETFs draws scrutiny" [2]: https://academic.oup.com/rfs/article/38/10/2988/8191041 "The Role of Taxes in the Rise of ETFs - Oxford Academic" [3]: https://businesslawreview.uchicago.edu/print-archive/unplugging-heartbeat-trades-and-reforming-taxation-etfs "Unplugging Heartbeat Trades and Reforming the Taxation ..."
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